商社は高給って本当?残業代はちゃんと出る?
20代前半に商社勤務していたときのこと、残業代についてはまったく請求するつもりはありませんでした。むしろ新入社員の1年目2年目で残業しているのは、業務を行ううえでの能力がまだ身についていないからであるという認識があったのです。
それにしても、午後5時15分の定時で終了することになっていながら、毎日午後7時から8時ぐらいまで居残って仕事していたのが事実です。
定時で帰れるなんて、ほとんどありませんでした。午後8時となると、何十人もいる社員のフロアの中でも2~4人いるかいないかぐらいで、あげく最後の1人にもなりかねないような時間です。
上司らはそそくさと定時のチャイムで帰って高給を得ているのに、午後8時まで残る必要があるのかです。この点について、当時から不満を抱いていました。
能力によるものであると考えられなくはないけれども、自分が行っているうえで必ずしも能力によるものとも考えにくいところがあります。自分の業務は自分がしていますが、他の社員が行っている業務とはまた別です。商材が違うし、担当先が違うし、比べようがないところがあります。
だから、自分が担当している業務はむしろ他の担当先よりも難しいという可能性を持っていました。残業代が一切支払われないのは馬鹿馬鹿しいこと、でも勤務しているときに残業代を毎日申請するのは気が引けるのです。一度も出したことはなかったはずですが、上司にはんこをもらって申請を通す必要があります。
退社後、その件を思い出して請求できる可能性を考えて、ネットで紹介された弁護士に相談しました。まだ請求する権利はあるとの回答をいただいたため、それなら請求しましょう、という結論にいたりました。そのときの弁護士報酬は回収した金額に応じて支払いますが、ともかく勝訴の見込みがあるとして、会社の社長宛に一筆書いていただきました。
社長はその弁護士からの要請に応じ、週5日、毎日約1時間から3時間ぐらいの残業代を支払いました。けっこうな額になりました。
その後、何となく会社にいづらい雰囲気になってしまい、退職しました。転職するまでの生活費は、回収した残業代でまかなっていました。
もしあれがなければ、怖くていづらい会社に我慢してしがみついていたでしょう。ひょっとしたら精神を病んでいたかもしれません。
何をするにしても手元に資金があれば余裕を持って選択することができるんだなと学びました。
残業代請求は時効があります。後悔しないよう早めの相談を。